軽度発達障害児をとりまく問題として、家族への支援方法が明確でない、最初に児の発達の遅れに気づきやすい保育士や教諭の対処方法が確立していない、各専門職者の連携がスムースではなくソーシャルサポートとして機能しにくいということが我々の調査から明らかになった。そこで、本研究は以下の3点を目的として進める。 (1)携帯電話を使用した個別療育相談の有効性を検証する。 方法は鳥取大学医学部附属病院の脳神経小児科を受診し、軽度発達障害と診断された児の親で研究の主旨を理解し研究対象者となることを承諾した親を対象とし、携帯電話の電子メール機能を用いて療育上の不安・心配・悩み事を送ってもらう。相談に関する回答は、研究代表者が担当医師とカンファレンスで内容を確認して、メールで回答する。相談事がないときも、2週間に1回は近況報告をしてもらい、受診時に療育相談について聞き取り調査をし、効果を評価する。 (2)診断までの経過における問題点を明らかにする。 小学校教諭、幼稚園教諭・保育士を対象に軽度発達障害の子どもや親に対する対応や診断されていない子どもの発達の遅れに気づいた場合どのように対処しているのかをアンケート調査により明らかにする。 (3)軽度発達障害児をとりまく専門職者の連携の現状と課題を明らかにし、望ましい連携のとり方を検討する。希望者により学習グループを作り検討する。 小学校教諭、幼稚園教諭・保育士に対し専門職者間での連携に対して困難を感じていることについてアンケート調査を行う。さらに小学校教諭、幼稚園教諭・保育士、保健師にインタビューをすることによって、連携の現状と課題をあきらかにし、どのような連携に連携をとるべきか検討する。
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