(目的・意義)卵巣機能低下によるエストロゲンの低下、心理・社会的要因により更年期症状を呈する更年期の女性は多い。しかし、適切な対応をせずに地域生活を送る女性が多く、将来的な健康状態の維持・向上のために専門的な健康支援が必要と考えられる。そこで、本調査により以下の点について明らかにする。1.更年期症状に影響する心理社会的要因。2.更年期症状への影響要因に対する対処方法を明らかにし、教育支援プログラムを開発する。また、開発された教育支援プログラムを実施し、介入効果について検討する。 (方法)1.地域生活を送る一般的な更年期女性約250名にアンケート調査を実施し、更年期症状への影響因子を明らかにした。また、更年期症状や精神状態に影響するストレス源やストレス対処についても明らかにした。 2.開発した介入プログラムを実施した。介入効果は、介入前・介入後(6か月後)・フォローアップ(12か月後)の比較により検討した。また、同時期に非介入群に同様の調査をし、介入群と非介入群と比較検討した。 (結果)1.重回帰分析の結果、更年期症状(SMI)と関連性がみられた因子は日常生活障害、精神状態(HADSによる抑うつ・不安)、ストレスコーピング(問題志向)、月経随伴症状、介護だった。更年期症状と関連が強い、精神状態に影響する要因として、ストレス源、ストレスコーピング(直感性)、ストレス解消とリラックスだった。2.1.の結果をふまえた介入プログラムを実施し以下の結果を得た。SMIは介入前と比較して、介入後・フォローアップ後有意に改善した。HADSも介入後改善傾向だった。いずれも、非介入群では改善がみられなかった。また、SF-36によるQOLの変化では、介入後に全体的健康感が改善し、フォローアップ時に身体的役割と心理的役割の改善が介入群のみみられた。 (考察)開発された介入プログラムは、更年期女性の健康維持・改善に貢献できると考える。
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