本研究の目的は、慢性腎疾患患児のセルフマネージメント支援のための外来看護介入方法を開発することであり、平成20年度の計画はセルフマネージメントの測定用具を作成することとしていたが、平成19年度の面接調査結果と概念分析の結果を検討することによって、外来看護におけるセルフマネージメント支援のための看護介入の枠組みが得られると考え、本年度はセルフマネージメント支援のための看護介入の枠組みを検討した。 平成19年度の面接調査結果と慢性疾患をもつ子どものセルフマネージメントの概念分析の結果との検討から、慢性腎疾患患児のセルフマネージメントの特徴として次のことが明らかとなった。(1)慢性腎疾患患児は、ケア提供者との交渉を含めた相互作用の中で、病状や治療の把握、悪化予防行動をとっていた。(2)慢性腎疾患患児は(1)の体験を通して、セルフマネージメントを学習し、それによって得た知識をもとに学校教師と交渉していた。(3)病気体験で生じる負の感情・情動を調整しており、それは友達との関係維持が影響していた。(4)セルフマネージメントの帰結は、子ども自身のわかる感覚の増加、親からの責任の移行と自立、普通でいられる感覚であった。以上より、慢性腎疾患患児のセルフマネージメント支援として、子どもと親や医療者とのコミュニケーションを促進できるように支援することと慢性腎疾患によって生じるストレスを調整するスキルを獲得することを目的とした看護介入プログラムが必要であり、その介入によって子どものわかる感覚、親からの責任の移行と自立、普通でいられる感覚を高めることができるという看護介入の枠組みを構築した。
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