本研究の目的は、慢性腎疾患患児のセルフマネージメント支援のための外来看護介入方法を開発することである。本年度は平成20年度に検討したセルフマネージメント支援のための看護介入モデルをもとに、小児慢性腎臓病患者のセルフマネージメントの履行を支援し、「ふつう」「わかる」感覚、親からのセルフマネージメントの責任の移行を促進することを目的としたセルフマネージメント支援プログラムの内容と構造を検討した。 平成19年度および20年度の研究成果より、社会的な相互作用を通して自己を確立していく思春期において、セルフマネージメントの履行に影響する要素はケア提供者との交渉であることが示唆され、思春期患者が親や医療者との交渉に必要なスキルを獲得するための看護介入プログラムが必要であることが明らかとなった。そこで、プログラムには「交渉スキル・トレーニング」を組み入れ、「知識の付与」「知識の活用とモニタリング」の3つの骨子から構成することとした。「交渉スキル・トレーニング」は、社会的スキル・トレーニングを参考にして、教示、モデリング、練習、フィードバックを含んだ構造とした。トレーニングを実施する研究者のスキルアップのために関連する研修に参加し、小児医療における臨床心理士のスーパーバイズを受けて、実施要領を作成した。また、プログラムで使用するブックレットと日誌の内容の妥当性について、小児慢性腎疾患の当事者、小児腎臓病専門医、臨床心理士、小児看護専門看護師、小児看護学研究者とのレビューを繰り返し行った。そして、プログラムの成果を測定するための測定用具の検討を繰り返しながら、プログラム開発のための準備を整えた。現在、パイロット・スタディに着手しており、今後、臨床適用への検討が可能となるものと考える。
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