初年度は、本研究の調査手法であるApplied Cognitive Task Analysis(以下ACTA)に関する専門的知識の提供を、ACTAを開発した北米Klein Associatesの研究者から得た。ACTAにおける概念枠組は、熟練者の認知の特徴をもとに構成されており、本研究の主題である、「熟練助産師の助産ケアの判断における認知過程を明らかにする」ための研究手法として妥当であることが確認された。また、ACTAを用いることで、より効率よくデータを収集することが、可能であることが明らかとなった。北米研究者からは、ACTA実践における具体的なトレーニング方法について説明を受けるとともに、本研究におけるACTAの使用について、具体的な方法論に関する助言を得た。これらACTAに関する北米での調査を基に、本研究における研究のプロトコールについて検討を行った。その結果、助産師の妊娠期の異常の判断における認知過程を明らかにするためのインタビュー方法として、熟練助産師が、何を「情報」として得ているのかに焦点を絞り、データを収集し、その後、それぞれの情報に対しての助産師の「分析」、「判断」に焦点を絞って、データを収集行うというインタビューガイドを作成した。作成したインタビューガイドをもとに、プレテストを行い、次年度に向けての、研究プロトコールを作成した。さらに、分析における視点、結果の提示方法について検討を行った。また、インタビューの精度を高めるトレーニングを実施した。
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