妊婦健康診査(以下妊婦健診)の実施経験が少ない助産師を対象として、妊婦健診における認知領域、特に妊婦健診におけるアセスメントの視点に焦点を当てデータを収集した。データは、面接により、日常、研究対象者が実施している妊婦健診の状況を振り返るという方法で行った。収集されたデータは、妊婦健診に熟練した助産師(以下熟練助産師)から抽出されたアセスメントの視点との比較検討を行った。調査対象の助産師は、妊婦健診の経験が2年以下、3年以上5年未満の2つのグループに区分した。妊婦健診経験が2年以下の助産師は9名であった。このグループにおけるアセスメントの視点は、主に母子手帳に記載されている情報項目をもとに妊娠経過の診断を行っていることが特徴であった。妊婦健診経験が3年以上5年未満の助産師は6名であった。このグループにおけるアセスメントは、全身的に観察を行い、妊娠経過の判断とともに、日頃の健康状態へ視点を向けていることが特徴であった。熟練助産師と比較すると、どちらのグループにおいても、アセスメントの際に用いられている情報量が少なく、情報源の幅も狭かった。また、妊婦健診という限られた時間の中で情報を得るためのスキル不足や、視点の不十分さを感じていることがわかった。助産師が妊娠経過及び妊婦の健康状態(身体面・心理面・社会面)についての情報を多様な側面から捉え、それらの情報を統合していくことができるようなトレーニングが必要であることがわかった。
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