本研究の目的は、がん化学療法患者の倦怠感を測定する信頼性・妥当性ある尺度を開発し、その臨床的応用を試みることである。 20年度は、あらたに秋田大学医学部附属病院での倫理審査承認を得、横浜市立大学附属病院、国立病院機構西群馬病院の計3か所でデータ収集を行った。尺度開発では、様々な診断名、治療法のがん患者を対象とする必要があり、現在までに血液・乳腺・大腸・胃・膀胱・腎臓がん、化学療法・放射線療法・ホルモン療法中の、外来通院中または入院中のがん患者からデータ収集を行い、現在までに約200名の患者から協力を得た。また、本データ収集の際、同時に「アテネ不眠尺度」「SF8」「つらさと支障の寒暖計」の調査も行っており、データ収集完了後は、倦怠感の程度と不眠、うつ、QOLとの関連についても分析し、臨床的応用の方向性が確認できる予定である。現段階では、目標症例数(合計約400名)に向け、引き続きデータ収集中である。 一方、本尺度開発の背景となった量的研究2本(がん患者と非がん初診患者の倦怠感の比較、化学療法患者と放射線療法患者の倦怠感の比較)、本尺度の応用領域となる研究1本(がん化学療法を受けている療養者のセルフマネジメントに関する研究)を発表した。また、本尺度(暫定版)の根拠となった文献研究をもとに、1)がん患者のための倦怠感尺度の研究の動向、2)がん患者の倦怠感に関する質的研究の動向、について投稿準備中である。
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