今年度は、平成19年度に実施した全国の小児がん治療研究グループに参加している199施設の看護師長を対象とした、化学療法を受けている小児がんの子どもへの食事援助の実態調査結果を分析した。その結果、食事と栄養管理については、MCAC計測等の効果的とされる栄養評価が実施されていた施設は1割以下で、栄養評価が十分に行われていなかった。食事環境では、NSTの実施の程度や食堂や行事食の有無等において、家族の付き添いを実施していない施設の方が環境が整っている傾向があった。症状マネジメントの生活指導では、リーフレット等を用いている施設の方が積極的に症状マネジメントに関与していた。これらの成果については、日本小児がん看護研究会にて学会発表を行った。 次に、化学療法を受けている小児がんの子どもの入院中の食事とその援助、また、化学療法により生じる副作用症状と食事、栄養問題およびその援助の実態について明らかにすることを主目的とした調査を実施した。A大学病院に入院し、化学療法を受けている8歳から18歳の承諾の得られた小児がんの子どもを対象に化学療法の副作用症状と食事に関して、聞き取りによるアンケート調査を行った。さらに、副作用症状と食事については、診療録や観察、MCAC計測等によるデータ収集を行った。現在は、これらの分析を進めている。 本研究の結果は、既存の研究では対象とされてこなかった小児がんの子どもの化学療法の副作用症状と食事への看護援助に関するデータを提供すること、化学療法を受けている小児がんの子どもの副作用症状に対する援助、副作用症状に合わせた適切な食事と栄養管理、そして食事援助の実践に寄与することができると考える。
|