本研究の目的は、多胎児を産み育てている家族特に母親に対して、妊娠期から育児期にわたり多胎育児特有の不安やストレスを軽減するため、同じ立場にある多胎児の親のピアサポートの効果を検証し、当事者と協働して実施する地域における多胎育児支援の方法を開発することである。ピアサポートの実践活動に関しては、コーディネーターの調整ののち、サポーターが二人で行い、家庭の状況(家族形態、きょうだいの有無、社会的支援の有無、多胎児の性別、在胎週数、出生体重)、初回訪問の日時、場所、依頼者の希望や状況、サポートの内容、申し送り事項や感想、次回訪問の予定である。記録用紙はA42枚であり、2回分の訪問記録がかけるようになっている。サポーターは訪問後に記入した。ピアサポートを実施した多胎児家庭は、3つの地域ネットワークで合計71件であった。そのうち初産婦は51件、経産婦は20件、妊娠中は19件、児が4か月未満は15件、4から1歳未満は18件、1歳以上は18件、不明が1件であった。妊婦の妊娠週数は20週未満が4名、28週未満が10名、36週未満が4名、不明は1名であった。訪問回数は、1回が37件、2回が20件、3回が13件、5回が1件であった。多胎児の平均出生体重は2037gであった。対象となった家庭で社会的な支援を受けているものは5件であり、ファミリーサポートやヘルパーなどがあげられた。ピアサポート事例について、初回訪問時にどのようなサポートを行ったのかを1)妊娠中2)出産後入院中3)生後3か月まで4)生後12か月まで5)3歳未満と児の月齢に分けてサポート内容の記述を分析した。
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