研究概要 |
慢性疾患や発達障害の子どもの保育についての面接調査は,Z県Y市内の幼稚園・保育所・認定こども園(以下,施設)40施設のうち17施設の保育従事者38名より協力を得た.児童数130.5±52.5名,職員数21.3±13.9名,慢性疾患の子の受け入れ8施設(47.1%),発達障害16施設(94.1%)であった.保育従事者の年代は20歳代17名,30歳代12名他.経験は15年以上14名,5年以内11名,6〜10年10名他.慢性疾患の子の保育経験有は15名(39.5%),発達障害では34名(89.5%)であった.主な慢性疾患の種類は神経系10名,筋・骨格系と呼吸器系各3名他,発達障害では心理的発達の障害(自閉症,広汎性機能障害等)46名,ダウン症6名他であった.保育経験で困難なことは,慢性疾患では個別対応の困難であった.発達障害では本人が集団行動に対応できない,本人との意思疎通が難しいことによる対応困難などが多かった.また周囲の子や親の理解不足による困難などであった.うまくいっていることは,慢性疾患・発達障害ともに,周囲の子の理解が得られることによりその子に合わせた手助けや温かい声をかけることができていた.またカードの利用など子どもに合わせた対応,わかりやすい対応がうまくいっていた.保護者との対応では,保護者自身の病気や発達障害の受容が保育困難へと影響しており,受容している保護者とは情報交換や連携がうまくいっていた.病気や障害の子の保育未経験者は,慢性疾患23名(60.5%),発達障害4名(10.5%)であった.今回対象としたY市は病弱部門を有する特別支援学校との連携を行っていない.就学指導等も考慮し,経験者との交流の場,疾患が発達障害の理解・対応についての学習の機会を作る必要がある.
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