本研究の目的は、(1)老人福祉施設および在宅において高齢者ケアに携わっている看護職者・介護職者がとらえている高齢者のスピリチュアルペインとそのケア実践状況を明らかにすること、(2)老人福祉施設および在宅ですごしている高齢者の死生観とスピリチュアルペインの様相を明らかにすること、(3)それらの結果に基づいて、高齢者のスピリチュアルペインを緩和するケアプログラムを構築することである。平成19年度(交付が追加決定であったため研究着手は10月以降)は、(1)に対応する調査を行うための調査票を構成する概念・要素の抽出するために、さらに詳細な文献検討を行ったうえで、予備的な面接調査を実施することを計画した。 計画に沿って、スピリチュアルペインとそのケアプログラムに関する国内外の先行研究および資料をより詳細に検索・検討したところ、研究者が米国のホスピスを訪問した際に入手した「Spiritual Care Assessment」「Spiritual Care Progress Note」の2種類めシートが、研究を進めるうえで有用な資料となり得ることを確認した。そのため、予備調査に先立って、この2つのシートを翻訳し、日本の高齢者のスピリチュアルケアをアセスメントする際の適用可能性を検討した。また、スピリチュアルという深い課題に迫るため、高齢者看護を専門とする教員から、本研究の遂行に関する意見を聴取した。この検討結果をふまえてインタビューガイドとインタビューの進め方を検討し、現在は、研究倫理審査委員会に提出する書類を作成中である。平成20年度は、これらの成果をふまえた予備調査と、目的(1)に対応する第一次調査の実施を計画している。
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