年度計画にそって第二次調査を実施し、昨年度までに実施した第一次調査の結果とあわせて、高齢者のスピリチュアルペインと緩和ケアについて知見をまとめた。 1. 第二次調査の成果概要 目的:老人福祉施設及び在宅で過ごしている高齢者の死生観とスピリチュアルペインの様相と関連性を明らかにする。 対象:施設に入所している高齢者9名(特別養護老人ホーム4名、軽費老人ホーム5名)、在宅で過しデイサービスを利用している高齢者5名。計14名。 調査内容:生活の中で楽しさや生きがい・辛さを感じるとき、楽しく過ごすために心がけていること、年齢、健康状態等。研究倫理審査委員会の承認、施設長の承諾及び本人の同意を得て実施した。 分析方法:逐語録を作成し、意味を成す最小単位を抽出し、記述を分析の視点によって分類した。各々を内容の類似性からカテゴリー化して要素を抽出した。 結果:【辛いと感じること】は、周囲に気を遣い我慢する不自由な生活、身体変化により自分のことができない、周囲との不良な人間関係等5つの要素にまとめられた。【楽しさや生きがい】は、施設で計画される企画を楽しむ、散歩・入浴や手芸・園芸などを好きなことを楽しむ、家族や気が合う友人と過ごす等5つの要素にまとめられた。【今後の人生の過ごし方】は、家族や周囲の人々と一緒に楽しく過ごしたい、今の生活を続けて一日一日を楽しく穏やかに過ごしたい、周囲の迷惑にならないように生きたい・死にたい等6つの要素にまとめられた。【生き生きと過ごすための心がけ】は、健康や体力維持等の努力、周囲と仲良く過ごす努力、等4つの要素にまとめられた。 2. 高齢者のスピリチュアルケアプログラム案の検討 上記の分析結果から、高齢者のスピリチュアルペインを緩和し、生きる楽しみをもって日々を過ごすためのケアプログラム(案)を、入院時・ケア開始時、日々のケア実践時に分けて検討した。
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