平成20年度は妊娠期に産褥期の養育態度を予測(虐待ハイリスクケースのスクリーニング)するための質問紙作成を検討した。産褥1ヶ月の褥婦を対象に褥婦の特性と養育態度について、相関分析および重回帰分析を行い、産褥期の養育態度を予測する項目を選定した。その結果、ソーシャルサポートおよび対人関係能力、レジリンス、自己肯定感が養育態度と関連していることが明らかとなった。養育態度との関連は概ね当初の予測通り、人とのかかわり方の根本にあるものが影響していることが明らかになった。 早期介入プログラムの目標については、対象者の特性と産褥期の養育態度の分析結果を踏まえて連携研究者との議論を重ね、親役割や家族機能の発揮を根底から支えるものとしての、人とのかかわり方における変化に自分自身で気づくこと目指すものとした。目標を具現化するプログラムのコアは、「対象者が持つ長所・強みに焦点をあてること」、「対象者が自己肯定感を得ること」、「対象者がエンパワメントを得ると共に自分自身が持つ力に気づく」の3点とした。 研究協力施設の確保が困難等のため、研究の進行は約4ヶ月遅れている。平成21年5月より早期介入プログラムを実施することとなった。また、介入者のトレーニングを行うことが出来なかったので、プログラム開発者が介入を行い、評価は介入場面の録音データおよび記述内容の詳細な分析によって行うよう変更した。データ収集は平成21年12月まで行うものとする。
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