本研究は妊娠期からの子ども虐待予防に向けた早期介入プログラムの開発を目的とした。産褥期の養育態度を予測する質問紙調査を行い、その後の妊婦健康診査において3~4回の介入プログラムを実施した。介入プログラムは「妊婦自身が自分の持つ力に気づきながら親準備性を高める」ことを目標とし、そのコアは「対象者が持つ長所および強みを強化する」、「対象者が自己肯定感を得る」、「自分自身の持つ能力に自分自身で気づく」の3点であった。介入プログラムの効果は産後の質問紙調査および介入に対する対象者の反応を分析した。なお、研究協力を得ることができた対象者は産褥期のネガティブな養育態度や育児困難が予測される対象ではなかった。そのため、プログラム実施群と非実施群として分析を行った。質問紙調査における両群の有意な差は認められなかった。介入実施群の反応を分析した結果、本研究で実施した介入プログラムは親準備性を高めるだけでなく、自分の強みに気づき、これからの育児をやっていけるという感覚を持つこと支援する可能性が示唆された。本介入プログラムの養育態度や育児困難のハイリスク群に対する効果については、今後研究を継続して明らかにしていく必要がある。しかし、本介入プログラムは自分の強みに気づきながら親として発達していくことを支援する、子育て支援プログラムとしても活用可能であると考えられる。
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