本研究は、母親が安心して育児ができ、次回の妊娠・出産へとつなげるために、出産後の母親の心的外傷後ストレス障害(PTSD)を予防するための対応策を看護の視点から提案することを目的とし、心的外傷後ストレスを引き起こしている母親はどのような出産体験をしたのか明らかにした。その結果、健常新生児の母親およびNICU入院児の母親から抽出された両群の類似したネガティブな体験は『想像以上の身体的苦痛』であり、これ以外に健常新生児の母親は『身体的・精神的脆さ』、『周囲の無理解による辛さ』などの体験であった。一方、NICU入院児の母親は『母親の生命の危険』、『子どもを亡くす恐れ』などの体験であった。さらに出産1か月・3か月・6か月における心的外傷後ストレスの状態を縦断的比較した。これらの結果を助産師・看護師あるいは医師が理解し、出産や出産後の母親に予防的な支援、あるいはPTSD出現の母親を早期に発見し、継続的に支援ができるよう、論文として投稿予定である。また、これらの結果を周産期看護の実践等のスペシャリストに提示し、今後の研究目標および研究方法なども含め意見交換し、データ収集可能な対象を検討した。
|