基礎資料の作成を終え、母子の健康、母親の自覚した身体感覚質問紙およびインタビューガイドを作成した。その後パイロット調査を行い、マザークラス卒業後1年から5年目の女性30名に半構成型インタビューを行い、母子の健康を調査した。内容は1)母子の現在の健康2)出産・保育の状況3)参加動機4)最も印象的であったメニュー5)メニューの中で感じたこと6)感情・行動の変化7)マザークラスが出産・育児、その後の生活に与えた影響である。分析は3名の研究者で行い、他大学の質的研究者にメールおよび訪問してスーパーバイズを得ている。またオーストラリアシドニー工科大学で行われたBACIセミナーに参加し、多くの助産師とディスカッションを行い、有益なアドバイスを受けた。 研究参加者は全員母子ともに健康であった。全員が児を母乳で保育しており、その期間は1〜2年であった。最も印象に残っているメニューは「食」であった。参加後食事内容が変化したと答え、現在も食が自分の生活(子育てや体調、家族の食生活)に影響していると答えた。またアロママッサージや気功体験によって身体感覚をより高めていたことも明らかになった。これらの体験で、より自分の身体を感じ、身体が心地よいように動き、そのことで自らの「産む力」を感じ取っていた。さらに毎回行っている胎児との対話や子守唄は、出産やその後の育児に影響している。またドゥーラや妊婦同士の心地よい温かい関係を参加者はずっと覚えており、それを「居心地の良い場」、「異空間」と表現した。マザークラス終了後も参加者は定期的に集まり、食事会を開いたり勉強会を行いながら、絆をつなげていた。以上より、参加者のマザークラス後の変化は継続しており、その子どもや家族の健康づくりに貢献していることが明らかになった。これらの結果は現在行っている「身体感覚活性化マザークラス」および「医療者セミナー」に反映させ、その成果を学会で発表した。
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