マザークラス卒業後1年から5年目の女性10名に半構成型インタビューを行い、母子の健康を調査した。内容は1)母子の現在の健康2)出産・保育の状況3)参加動機4)最も印象的であったメニュー5)メニューの中で感じたこと6)感情・行動の変化7)マザークラスが出産・育児、その後の生活に与えた影響である。分析は3名の研究者で行い、他大学の質的研究者にメールおよび訪問してスーパーバイズを得た。研究参加者は全員母子ともに健康で、全員母乳保育であった。出産形態は1名のみが帝王切開分娩である。最も印象に残っているメニューは「食」である。マザークラスがその後の人生に与えた影響には5つのカテゴリー【身体の声を聴く】【感謝する】【受け入れる】【あるがままに生きる】【社会に伝える】が抽出された。参加者はクラスのメニューを通じて身体感覚が敏感になり、それに合わせて身体を調整することを日常の中に取り入れていた。また身体の巧妙さに感動し、すべてのことに感謝する気持ちが持てるようになったと答えている。身体の声を聴くようになると、自分の身体に起こる現象には必ず意味があるとして、今まで否定的にとらえていたものもそのまま受け入れられるようになった。さらに自分でコントロールできないものがあることを認め、あるがままに生きるという人生哲学を獲得していた。また自分が身体で得た快の経験をひとりでも多くの人に伝えたい欲求があり、地域で活動を行っていた。よって妊娠期に培った身体感覚とその認識は、時を経ても定着していることが明らかになった。「身体感覚活性化マザークラス」で体験し獲得した身体感覚は、その後の分娩、育児さらには生きる信念として定着し、女性とその家族の生き方に影響を及ぼしている。 これらの結果は現在行っている「身体感覚活性化マザークラス」および「医療者セミナー」に反映させ、その成果を学会で発表し、多くの医療者と議論を行うことができた。
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