筆者は、情報に意思決定を委ねる「教室受講型」ではなく、また単なる「参加型」ではない「身体感覚活性化」に焦点を当て、五感を刺激することで妊婦が自らの身体を感じとることをめざした「身体感覚活性化マザークラス」を開発し、実践を重ね10年が経過した。140名以上の女性がこのクラスから巣立ち、参加者の満足度は高くリピーターも多い。よってこのクラスは、出産、育児、さらにその後の妊娠にも、何らかの影響を与えていると考えられる。またこのクラスで得た感覚で起業した者、3~5名出産し育児を楽しんでいる者、子どもを育む環境に目を向け市民活動に参加したり、育児サークルをつくりリーダーとして活躍している者など、積極的な行動を起こしていることが明らかになった。したがって「身体感覚活性化マザークラス」は、女性の「産み育てる力」を育む可能性が示唆された。 本研究の目的は、「身体感覚活性化マザークラス」が女性が親になる過程にどのように関与しているかを明確にし、さらにその結果から、「産み育てる力育成のための妊娠期教育のモデル」を開発することである。
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