平成21年度は、前年度から継続し、面接データ3例目からの解析と考察を合同で実施する予定であったが、時間調整が困難でメールで行った。対象者9名は退院後3~15年目が4名(初発2名、再発経験2名)、退院後1~3年目が4名(初発4名)、1年未満が1名(対象から除く)であった。調査結果は、1)対象者らはモデルと似かよった過程を経験していた。2)退院後3年以上の初発2名と再発経験1名は、友達に病気について告知し、交友関係がよく人のためになることを目的にするなどの精神的な強さが見られた。他の1名は友達へは未告知で、交友関係は少なく明確な目的がなかった。3)退院後1~3年目の対象者は退院後3年以上と同様で2つのタイプに分かれた。4)明確な将来への目的がある対象者はそれを実行する具体的な対策を持たなかった。 この結果から、ポートフォリオを使用した看護支援を立案している。この方法は目的をもちそれを具体化していく中で、問題を解決しながらゴールへ向かう学習法で、自主性と他者との交流を必要とするため弾力性を高める支援として意義があると考える。次に述べる追加調査後、外来フォローされている小児がん長期生存者から、次に入院中の小児がん患者に実施する予定である。看護支援の立案は、小児がん専門看護師と小児病棟の看護師と共に2回検討した。研究責任者が看護支援案に関する研修に3回参加した。 今後の課題は、この研究を継続し妥当性を高めることである。友達へ告知することと明確な目的を持つことや良い交友関係をもつことの関連性、友達に告知できないでいる対象者の実態、初発者と再発経験者間の精神的な強さを獲得する過程の相違点を明確にするために継続調査は必要である。このことは告知できないでいる対象者の、弾力性を高める看護支援のガイドラインに繋げていくためにも意義があると考える。
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