平成20年度は3年間の研究の2年目、第2段階として、【その1】平成19年度の調査・分析の継続。地域で子育て中の母親、保育士・幼稚園教諭を対象に、子どもに対する健康管理の現状と問題点の焦点化、プリパレーションプログラム内容の抽出を目的とした調査を継続した。具体的には、子どもと親の健康管理や病気についての認識、対処行動、親から子へと伝承されている健康に関する価値観について詳細な実態調査を行った。 子どもが予防接種を受ける際に母親がどのような説明を行っているかについての調査では、母親らは、場面に応じて《子どもへは説明しないという判断》、《目的地(病院)に連れて行くための声かけ》、《子どもを頑張らせるための声かけ》、《子どもの理解力に応じた説明》をしていた。母親がかけていることばの多くが、予防接種を無事に終えるための声かけであり、子どもに予防接種の必要性を説くことばや心理的な準備を促すようなことばは少数だった。《子どもの理解力に応じた説明》は4〜5歳の子どもに対して行われており、日々の子どもとの関わりの中で体験を通して、子どもへの説明の必要性を認識し、子どもが理解できる年齢を見極めていた。また、《子どもへは説明しないという判断》の背景要因として、子どもの年齢が小さいことに加え、母親自身の生育環境も関与していることがうかがえた。 【その2】、これまでの調査結果に基づいて、健康な子どものためのプリパレーションプログラム=「体の免疫機能と予防接種の受け方」モデル案の作成に向けた分析。(1)子どもの周囲の大人がどのように医療に関する情報を伝えているか実態を整理し問題の焦点化、(2)子どもの心理的準備・主体的な医療参加のために必要な要素の抽出作業を継続中である。
|