本研究テーマ「小児がんの難治性疼痛緩和に関する看護視点からの研究-小児がん難治性疼痛の判断基準の確立とチーム医療システムの再構築-」から、ガイドラインの必要性が明らかになった。 ここでの難治性疼痛とは、神経因性疼痛を基盤とする治療抵抗性の疼痛をさす。判断プロセスでは疼痛要因の鑑別や棄却を伴い、難治性の疼痛判断ができることは、必然的にすべての疼痛判断を可能にし、除痛には重要である。 結果は、WHOの除痛ラダー適応までの各経過時間と判断では、第1段階-第2段階に亘り持続する痛みには、心理・社会的影響因子の鑑別が課題となり、次に第2段階-第3段階では、レスキュー薬物の効果判断が課題となり、第3段階の除痛ラダー後に続く痛みには、セデーションの必要性が課題であった。痛みの病態生理と薬物に関する知識は、基本的に必要な課題であった。また、鎮痛薬物使用時のケアの基本原則は、痛みが取れる(眠る)まで、ないしは30-60分間、患児の側でタッチング(擦る)しながら、効果判定をすることである。その前提条件は、身体的・心理社会的ケアを十分に行うことであった。 難治性疼痛の判断を複雑にしているのは、医師・看護師の知識の乖離からくる病態理解の不一致と、専門領域のアプローチ(治療、ケア)の共有化手段の不足であった。チーム医療に参加する医師・看護師・薬剤師、他職者の共有に役立つ難治性疼痛判断のガイドラインが必要であり、カンファレンスの充実が望まれた。 本研究として、ガイドラインの作成を行い、報告書に網羅した。併せて、研究対象者・関係機関に配布した。
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