研究概要 |
本研究の目的は、出産後早期の母親を対象に泣きへの対応を含む育児支援プログラムを作成、参加型アクションリサーチとして育児クラスを開催し、その介入効果を分析することである。 調査期間は2009年8月~2010年2月、対象施設は都内の大学病院、対象者は100名で全員妊娠産褥経過において母子共に重篤な問題のない初産婦であった。退院指導において対象者全員に研究協力と共に育児クラスへの参加を呼びかけ、36名の自由参加があり介入群とした。非介入群は36名以外の64名であった。介入時期は1か月健診後~2ヵ月までに1回、約2時間とした。育児クラスでは、「子育て地縁を作る機会とする」「有効な支援提供者を得る」「泣きに関する適切な情報を得る」ことを介入内容として取り入れていった。また、質問紙を作成し全対象者に出産後2~3週,6~8週、12週頃の計3回送付した。質問紙では3回共に属性、泣きによる情緒的動揺、子育て地縁、有効な支援提供、泣きへの支援、泣きに関する情報の有無、状態・特性不安、疲労感についてたずねた。 分析の結果以下のことが明らかになった。 ・持続する泣きによって生じる母親の情緒的動揺では、非介入群に比して母親としての自信の揺らぎに効果が示唆された。 ・有効な支援提供者を得ることは、1か月健診後に下がるも非介入群に比し長期的な増加傾向が見られた。 ・泣きに関する適切な情報は介入後に顕著な増加が認められた。 ・子育て地縁を作ることでは、介入後の明らかな効果は認められなかった。 調査結界より、出産後の育児クラスへの参加が子どもの泣きによる母親の情緒的動揺を軽減するという効果は示唆されたが、子育て地縁を作ることでは、出産後早期に効果は認められなかった。調査結果を参考に育児支援プログラムの介入時期を再考し、妊娠中からの介入についても視野に入れ、その内容と共に今後検討していく予定である。
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