研究概要 |
筋萎縮性側索硬科症(ALS)療養者が,適切なときに適切な療養場所へ移行する際に,地域の看護職が切れ目無い継続看護が行えるような方策を見出すために,以下の2つの初期調査を行った。 調査1【拠点病院における入院患者の動向】:神経難病拠点病院の神経内科病棟に入院したALS患者の動向を調査した。結果:5ケ月間のうち,ALS患者の入院は実人数13名,のべ38名であった。治験のため,定期的繰り返し入院される方が2名いた。入院目的は,診断確定目的が6名であったが,胃ろう造設目的が5名,NPPV導入目的が5名などであった。退院後のフォローは,本院以来が5名,他院外来3名,訪問診療3名などであった。拠点病院であつ大学病院においては,入院目的が診断確定以外が半数をしめており,また退院後は半数以上が他機関に診療が引き継がれる実態が明らかになった。 これらより,地域協力病院神経内科の診療縮小化のあおりを受け,大学病院が診断確定以降の療養生活をもフォローする役割が生じており,新たな大学病院の院内看護の役割と地域連携方法の必要性が指摘された。そのため胃ろうやNPPVのケアや退院指導が不十分であり,また病棟から地域看護職への継続性がなされていない現状が明らかとなった。また退院後に本院外来通院する患者については,現外来看護体制状況から,病棟と外来看護の連携が不十分であることが指摘される。 調査2【ALS相談事例における連携】:神経難病医療専門員への相談のうち,約半年間に8回以上の連絡が入ったALSのケース6件について,各相談における関係職種との連携内容、連携方法に関する調査を実施中である。連携手段は,同行訪問,電話相談,メール相談,カンファレンス臨席など多様であった。連携内容は分析である。
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