研究概要 |
本研究の目的は認知症ケアのアウトカム評価方法の妥当性の検証を行うことである.19年度の研究方法及び結果、考察の概要は以下のとおりである.1.対象:認知症ケアを実施した者で調査に協力を得られた67人とした.2.調査方法:対象者に過去に受け持ったことのある認知症者の状況について,認知症ケアのアウトカム票原案に沿ってケアスタート時と終了後の2時点に該当する番号を記入してもらった.原案の評価項目は(1)認知症症状、精神的安定5項目,(2)生活、セルフケア行動10項目,(3)その人らしい生き方8項目,介護者の負担感4項目の合計27項目で構成されている.アウトカムの判定は最高値持続,改善,維持,悪化,最低値持続とした.さらに,対象者に質問紙調査を行った.3.分析方法:信頼性係数クロンバックα係数,再テスト法として2時点の番号の相関係数を算出した.また,アウトカム変化率を算出した.内容の妥当性について専門家と協議を行った.結果、考察:原案27項目の信頼性係数クロンバックα係数は0.889であった.また,1回目と2回目の得点間の相関係数は0.662〜0.969であった.対象者からは原案で「アウトカム評価ができる」の回答85.1%を得た.また,変化率を算出した結果,最高値持続が高かった項目は「挨拶」58.2%であり,改善は「楽しいことに対する表現、笑顔」34.3%,維持は「入浴」73.1%,悪化は「なじみの暮らしの継続」7.5%,最低値持続は「役割の有無と発揮」59.7%が高い変化率であった.無回答が多かった項目は,「サービスへの満足度」,「介護継続の意思」で,この点について改良を行った.以上,α係数,相関係数の結果より,ある程度の信頼性は確保できた.
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