<目的>当事者力量を高める看護援助パッケージを作成し、援助パッケージを用いた看護の有効性を検討した。有効性については、看護援助過程の記録及び患者の状態の定性的・定量的評価により検討した。 <対象者>対象者は、援助パッケージを用いて看護を提供する精神科病院の看護師および当該看護師から援助を受ける入院患者とした。看護師は、研究協力を得られた精神科病院に勤務する看護師のうち、研究への参加を希望する者から10名選定した。看護援助を受ける精神障害者は、研究参加看護師の受け持ち患者のうち、病状が安定しており研究への参加によって病状への悪影響がないと主治医および病棟管理者から判断された者で、かつ研究参加の同意を得られた者から10名選定したが、後に転棟により4名脱落した。対象患者6名の平均年齢は49±10.9歳、入院期間は2ヶ月~23年1ヶ月とばらつきが大きかった。 <援助方法>看護援助は、精神障害者の日常的なし対処能力や強みに焦点を当て、障害者の自我を補強できるアプローチを用いた。記録用紙として、目標設定シート、力量アセスメントシート、つながり発見マップ、共同プラニングシート、共同評価シート、看護援助場面の記録シートなどを用いた。患者の状態の査定にはGAF、ケア必要度、当事者力量評価尺度等を用いた。なお、看護援助は2ヶ月間提供された。 <結果>急性期の患者は、日常生活リズムの回復や生活の充実、病状の管理、退院に向けて具体的な目標を立て、その成果を看護師とともに振り返ることで達成感や充実感を得て、次の目標に進む傾向があった。一方、慢性期の患者は、現状維持の目標を立てる傾向にあったが、自分で新しい目標を見出せたことや看護師に気持ちを聞いてもらえたことを評価していた。看護師にとっては、患者の強みや患者を取り巻く環境の理解につながっていた。看護師と共同して行なう目標設定、プラニング、評価の有効性が示唆された。
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