研究概要 |
高齢者の立位姿勢保持能を高めるフットケアプログラムを開発する基礎調査として,インフォームド・コンセントの成立した地域高齢者76名を対象に,安静立位から最前傾にいたる足底部の接地圧分布を測定し,転倒との関連を検討した。さらに,立位姿勢保持能の関連要因として足問題について調査した。安静立位時と最前傾時の足底部の接地圧分布は,安静立位時と最前傾時ともに10趾がすべて接地しているA群,最前傾時のみ10趾すべて接地しているB群,安静立位時と最前傾時ともに接地していない足趾がみられるC群に大別された。足趾接地圧分布は,安静立位時、最前傾時ともに母趾が最も強く,また安静立位時と比べて最前傾時の分圧は高くなっていた。最前傾時の母趾の接地分圧は,C群では体重比約5%であり,A群とB群では約10%であった。また,転倒経験はB群の約10%,A群とC群の約20%にみられた。足問題については,足問題ありの者は約60%にみられた。足問題の種類は,鶏眼、胼胝,外反母趾,白癬,足底の角化,巻き爪であった。足問題の数は,1種類が約半数を占めていた。足問題あり群はなし群と比べて,よくつまずくと答えた者が多く,また,転倒については屋内の平坦な場所で転倒経験ありの者が多かった。以上の結果から,前傾において母趾が立位姿勢の安定性に関与している可能性,および足問題が立位姿勢の安定性を低下させる可能性が示唆された。
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