平成20年度研究実績結果 本研究の目的は重度認知症高齢者のQOL回上を目指した生活機能改善にある。その意義は、重度認知症高齢者の生活の質向上をもたらすだけでなく、介護者、ケア提供者にとっても負担軽減に繋がるものである。そのため、この重度認知症高齢者に対する音楽療法のエビデンスを構築することは看護のみならず理学作業分野、社会福祉分野においても重要である。 そこでH19年度の計画に加え、CDRにて分類した重度認知症高齢者に対し、愛唱歌を用いた介入を個別に週1回、能動的参加群と受動的参加群、コントロール群に分けて行なった。評価方法は加速度脈派測定システムを使用した。この実験は重度認知症高齢者の自律神経に音楽がどのような影響をもたらすのかを明らかにすることにある。その結果、仮説では能動的音楽療法で交感神経が活発になり、コントロール群、受動群の順でリラックスすると考えたが、愛唱歌を使用した音楽療法の効果は、受動・能動共にリラックスすることが明らかになり、日本老人看護学会にて報告した。 上記実験の結果と19年度の研究結果より、生活磯能に影響するコミュニケーション能力や日常生活機能だけでなく認知機能にも介入前より改善が認められ、QOL向上・生活機能改善に向けての可能性が示唆された。このことに加え、21年度は、脳機能検査機器を用いた基礎的研究を行い、重度認知症高齢者の生活機能向上にむけた音楽療法の効果的看護介入方法についてまとめる予定である。
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