研究概要 |
本研究は排便困難な在宅療養者に対し,自然排便を促進させる在宅ケアの方法を検討することを目的としている.自然排便を促進させる在宅看護ケアとして背部指圧法による排便促進の効果については,健康な20代の成人女性に対して,深井らの開発した日本語版便秘評価尺度を用いた排便状況の評価を行い,便秘傾向にあると判断した者を被験者として,背部指圧法の施行前の安静時腸音と背部圧迫後の腸音を測定し比較することでその効果をみることとした.背部指圧部位は背部の第7.8胸椎棘突起間の左外方二横指「膈愈」とした.また腸音の測定には被験者の腹部に取り付けたコンデンサ型マイクからマイクアンプ,インタフェースを通じてパソコン内に送り音響分析ソフトウェアで解析する腸音測定システムを作成し使用した.結果,背部指圧を施行した実験群で指圧前後の腸音の音圧・周波数に変化は見られなかった.しかし腸音回数は指圧後に増加傾向がみられ背部指圧の排便促進効果の可能性が示唆された.現在,結果を学会発表および論文発表のための準備を行っている.また,前年度から行っている訪問看護における排便管理の現状調査では全国訪問看護ステーションから無作為抽出した訪問看護ステーションの管理者を対象に,排便ケアに関する調査を行った.結果,排便困難な在宅療養者に対するケアで下剤使用の調整に問題が多いことが明らかになり訪問看護師への排便教育の必要性が示唆された.(国内学会発表済)
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