本研究の目的は、精神科急性期病棟に再入院した統合失調症患者が、退院後に安定した地域生活をおくれるように、「症状マネジメントの習得と患者を支える支援体制確立を目指した再入院ケアプログラム(以下、再入院ケアプログラムと略す)」を開発することである。 本年度は、再入院ケアプログラム作成の基礎的資料を得るために昨年度に行った精神科急性期病棟の看護師へのインタビューから、症状悪化のため退院後1年以内に再入院し、3カ月以内に退院した統合失調症患者に実施されていたケアについて分析を行った。その結果、<症状マネジメントの習得に向けたケア>として14カテゴリーと53のケア内容が、<地域生活維持に向け支援体制を整えるケア>として13カテゴリーと43のケア内容が明らかになった。 これらのカテゴリーとケア内容、先行研究を基に、研究者間で討議し「再入院ケアプログラム」の試案を作成した。そして、精神科急性期病棟で勤務している看護師との検討会をもち、頂いた意見を基にプログラムの内容・方法の修正を行った。現在は、精神科急性期病棟を有する4病院に協力していただき、症状悪化で再入院となった統合失調症患者に対して「再入院ケアプログラム」の試行を開始し、取り組んでいるところである。 今後は、試行結果と実施した患者の追跡調査結果を基に、臨床での「再入院ケプログラム」の活用可能性、有効性を検討していく。
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