22年度は21年度までに開発した周産期メンタルヘルスサポートプログラムをさらに精錬するとともに、「周産期メンタルヘルスに携わる看護専門職用ガイドラインに基づいた教育プログラム」を用いた教育を実施し、効果を検証した。 1. 周産期メンタルヘルスサポートプログラムの精錬 前年度までに得られた結果をもとに、うつ状態の女性にも利用しやすいように動画を挿入するなどの工夫を行った。また最近のうつ病治療に関する情報をもとに内容を追加・修正した。 2. ガイドラインに基づいた看護職を対象とした教育プログラムの効果検証 看護職を対象として、ガイドラインに基づいた教育プログラムを作成・実施し、その効果を検証した。 教育プログラムの内容は、(1)周産期メンタルヘルスに関する知識、(2)精神状態のアセスメント技術、および産後うつ病のスクリーニング方法、(3)共感的援助技法、(4)架空の事例を用いたケース検討、(5)ホームページを用いた自習であった。(1)~(4)は2日間の研修会で実施し、(5)は研修後に自宅等で自習を行うことにした。教育プログラムの効果を測るために、研修会前と研修会後、および自習を行った後(研修会後2週間)に質問紙により回答を得た。 教育プログラム参加者は30名であった。うち2日間の研修全てに参加した者は29名(助産師20名、保健師8名、看護師1名)、自習後に質問紙に回答し、返送した者は18名であった。 研修会およびプログラムに対する満足度および有用度ともに高く評価された。また研修会実施前と実施後の比較では、産後うつ病に関する知識および自覚的共感性が研修会後の方が有意に高かった。また研修会後と自習後の比較では、うつ病の知識に差はなかったが、うつ病の認知とこころの配慮能力は自習後の方が有意に高かった。 以上の結果より、ガイドラインに基づいた看護職を対象とした教育プログラムはうつ病に関する知識と自覚的共感性を高める効果があることが示唆された。
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