本研究目的は、摂食機能障害のある在宅で生活する重症心身障害児(以下重症児と略す)の食事介助方法を家族がどのような過程を経て構築するのかその構造を明らかにすることにある。本年度は本研究を開始するにあたり、大学の常設研究倫理審査の審査を受け承諾を得て始めた。研究協力機関として、小児の訪問看護を実施している訪問看護ステーション1か所、障害児の摂食外来を実施している医療機関でもある子ども療育センター1か所で協力が得られた。当初予定していた訪問看護ステーションでの研究協力者については、家族状況の変化や転勤による利用中止、子どもの状態の悪化等で現在のところ研究協力者が得られていない状況にある。重症児の身体状況は変化しやすくそれに伴い食事状況も変化する。今後も親子の状態により研究協力を得ていく予定である。現在は主に療育センターで行われている摂食外来に参加して、研究協力者を捜している状況である。乳幼児から学童期までの子どもが受診する日に参加した。これまでの参加状況からは、摂食外来を受診している子どもはすべて母親が食事介助者であり、1歳から12歳までの子どもが利用していた。子どもの摂食機能障害の背景は、超未熟児での出生、仮死状態での出生、分娩時の障害、重度のけいれん発作の繰り返し、虐待後の脳障害等でさまざまな要因で脳障害が起こり口からの食事が難しい状態にあった。今後母親との関係性が構築できれば面接が実施できる予定である。しかし摂食外来を受診している親子は、子どもの身体状況が不安定であり食事がすすまない状況や、まだ食事介助者の手技が安定していない場合が多く、データを得るためにはフィールドを広げる必要性を感じた。今後、親子で通園する障害児施設で家族が食事介助を実施している通園施設に研究協力を得る予定にしている。
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