研究目的:在宅で生活する摂食機能障害のある重症心身障害児(以下重症児と略す)の食事介助方法を築いてきた過程を明らかにする。 倫理的配慮:大学の倫理委員会において倫理審査を受け実施した。 データ収集及び分析:摂食外来で参加観察を行い、研究協力に了解の得られた重症児への食事介助を実施している母親に半構成インタビューを実施し、表現された言葉の意味を取り出し構造化した。 結果:脳性麻痺と診断され、生活はほぼ全面介助の重症児とその母親3組である。事例1の2歳7か月児の母親は乳児期にうまく食べられない原因がわからず「暗中模索」の中でやっと診断名がっいたことで、母親として「自分が出来ること」をみつけ「指導どおり食事介助を実施」し食べ方が進歩した状態を喜んでいた。また、摂食外来や通園施設に通うようになり自分の気持ちに「ゆとり」が出来、子どもの食事の特徴を捉えていた。事例2の9歳児の母親は、食事の種類や形態に工夫をこらし食事介助に熱心に取り組んでいる。しかしスムーズに食べてくれないことに「あせり」を感じ、「子どもの機嫌をとる」ことで対処しているが、なかなか進展がなく「子どもの気持ちとかみあわない」状況が続いていた。事例3の12歳児の母親は幼児期より指導どおりの食事介助を実施する中で「食事が楽しくない」こと気づき、「子どもの変化をとらえる」中で「子どものペースを掴む」喜びを感じていた。3事例は「手探り」「習う」「まよう」「掴む」という段階の中で介助方法を構築していた。
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