研究概要 |
都市部在宅高齢者における社会的関係性の3年間の変化を明確にすることを目的とする。調査対象は、A市の協力を得て65歳以上の都市部在宅高齢者全員16,462人を対象とし、2001年度有効回答した13,195人である。分析対象は、919名の転居者を除く12,147人の生存を6年間追跡した。この間1,899人の死亡と死亡日を確定した。 社会的関係性に関する設問は、近隣外出と趣味活動、地域活動とした。質問紙は「一人で隣近所に外出できますか、選択肢1-3.「地域活動を積極的にしていますか」選択肢1-3.「趣味活動を積極的にしていますか」選択肢1-2.これらの番号を加算し社会的孤立得点とした。社会的孤立得点8点が最孤立群である。 第1に、都市在宅高齢者の社会的関係性をみると、男女とも加齢とともに統計学的に有意に社会的関係性が希薄になっていた。第2に、社会的孤立得点6点以下を0にし、7点と8点を1に二部して多重ロジスティックにより各要因との関連を分析すると、孤立していないことと統計学的に有意な関連要因は、男女ともに、年齢が若いこと、主観的健康感が高いこと、外出頻度が多いことであった。女性のもかかりつけ歯科医師がいることが示された。第3に、社会的孤立得点が7点以上で活動が不活発で孤立している群ほど、3年後には男女共に約4割が要介護者になることが示された。都市高齢者が日々行っている社会活動が、3年後の要介護状況を予防する上で、予測妥当性の高い指標である可能性が示唆された。
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