研究概要 |
都市部在宅高齢者における身体的健康、精神的健康、社会的健康の6年間の変化とその因果関係は2001年の『精神的要因』(『』は潜在変数)が基礎となり2004年である3年後の『身体的要因』を直接的に規定し、2007年である6年後の『社会的要因』を間接的に規定するモデルが、他のモデルに比べ相対的に大きな決定係数(女性23%、男性25%)を示し、適合度指数はNFI=0.935,IFI=0.952,RMSEA=0.019と高い適合度が得られた。 2001年に調査した65歳以上の高齢者を2007年に生死を確認した12,147人を対象に日常活動能力との関連要因を探索した。6年後の男女の共通の死亡リスク要因は(1)年齢、(2)買い物、(3)食事の用意」であった。男性は(1)健常低得点(死亡ハザード1.9)、(2)買い物不可(1.8)、(3)新聞書物不可(1.6)、(4)預貯金出し入れ不可(1.5)、(5)食事の用意不可(1.45)であった。女性は、(1)買い物(1.9)、(2)食事の用意(1.4)であった。 社会的孤立得点が最も高い群の6年後生存率は男性で約2割女性で約5割に低下していた。COXハザードモデルによって生存を予測する要因を解析した。6年間の生存維持のためには、男女共に社会的に孤立せず、主観的健康感を維持し、肝臓病がないことであった。男性は外出頻度を維持し主治医がいないこと女性ではかかりつけ歯科医がいることが統計学的に有意な関連があった。 住民参加で保健計画を作成し展開する活動を通して、住民と行政職員と共に地域参加型研究として健康づくり推進委員活動や関係機関との連携実践活動を行ってきた。その活動を共に振り返り新たな活動を計画する中で、市民がHealthy Cityを意識した活動を行うには(1)役割の認識、(2)活動の根拠となる情報、(3)意図的な戦略を協働計画することが重要であった。そのためには、エンパワメントの3要素「対話・傾聴・行動」が不可欠であることが実証された。
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