研究課題
地域の難病療養者とその支援者が直面する課題が集約する難病相談・支援センターの相談支援事業に焦点を当て、質の高い相談支援の提供と地域における難病療養者支援システム構築の方向性を探り、難病療養者のQOL向上に寄与することを目的とし、平成19年度は疾患群別療養課題への対応に必要な技術の抽出・構造化を行った。群馬県が設置する難病相談支援センターの難病相談・支援員が平成14-18年度に取り扱った特定疾患調査研究対象疾患の相談を対象に相談記録及び相談支援員の面接から相談利用者の属性、相談内容、相談対応内容、相談対応に用いた技術及び技術を提供するための準備態勢を抽出した。分析の対象とした相談は1679件で、このうち療養者からの相談1048件、支援者からのは相談631件、相談対象疾患は、神経系難病78.1%、消化器系難病6.9%、膠原系難病8.8%、その他の難病6.1%であった。対応に用いた技術は、いずれの疾患群においても療養者への直接的支援、支援者への支援技術向上のための情報提供・助言、支援過程への参加、支援機関調整、療養者支援の施策化促進の働きかけに整理され、特に、神経系難病では、他の疾患群に比べて支援過程への参加の割合が多かった。支援技術の項目としては、療養者に対する病気・医療・日常生活管理・保健福祉サービス等の知識の提供、精神的支援、支援機関調整、支援者に対する難病の疾患・医療・保健福祉に関する専門知識の提供、疾患毎の療養課題理解の支援、療養環境評価支援、支援方針への助言、療養者の意志決定支援方法の助言、家族支援方法の助言、ヘルパーの吸引指導・管理方法の助言、サービスの導入・利用調整、支援チーム構築支援等が抽出された。難病相談支援事業整備と地域における支援システム構築の方向性についての示唆が得られた。