1. 全国保健所における石綿健康相談の現状調査 全国517保健所を対象にアンケート調査を行い有効回答323件(62.5%)を得た。各保健所の石綿健康相談担当者は平均3.0人で、職種は看護職(73.7%)、事務職(42.1%)、医師(14.6%)で(複数回答あり)、そのうち研修を3ない者が86%、マニュアルを全く使わない者は35%であった。過去一年の相談件数は施設当たり0-108件で平均5.3件であった。101施設が対応時の困難についての自由記載欄に回答し、内容はのべ125件にのぼった。その内容は救済申請に関するもの91件のほかに、労災申請に関するもの、建材の石綿含有の有無、含有製品の廃棄法、検査機関の紹介、労働者の曝露不安、発症予防法、発症リスク、関連疾患に関する医学的質問や助言、関連疾患が治療可能な医療機関紹介などであった。 保健所の石綿健康相談担当者が対応に苦慮していた問題については、2009年にマニュアルが発行され、多くの相談について回答が可能になった。しかしながら、関連疾患患者からの治療やケアに関する質問については具体的なマニュアルはなく、治療可能な医療機関情報は各自治体担当者の情報収集努力にかかっているのが現状である。このように、石綿に関する健康相談に関して、患者の困難や不安についての知見や対応方法についての指針開発が急務と考えられたことから、石綿関連疾患の中でも転機が悪い中皮腫・石綿性肺がんの患者について調査を行った。 2. 中皮腫・石綿性肺がん患者の困難 中皮腫・石綿性肺がん患者17名にインタビューを行った。データは現在分析中。
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