本研究の目的:認知症の親を施設に預ける決心をするまでの家族の心理的変化を明らかにする。対象:親の施設入所を決断した都市部と農村部に在住する子介護者10名(女性8名、男性2名)。半構造的面接調査を行い、分析には修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた。結果:家族は自宅介護の限界を感じた時、社会規範による使命感と罪悪感に苦しみ葛藤する一方で、親との親密な時間を共有することにより親子関係が喚起されていた。この喚起体験が介護者の罪悪感を薄め、親の全てを受け入れ感謝する気持ちに変化していた。入所後も罪悪感を引きずらないためにも介護過程の中でこの気づきを体験できる家族支援の重要性が示唆された。
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