研究概要 |
高齢者の生活リズムと生活リズム調整への援助の実態を明らかにすることを目的とした。援助についてはこれまでの2年間の調査で明らかにした33援助項目の確認をする方法をとった。調査方法は,2名の高齢者に対し,準参加観察法により週1日同じ曜日の3日間の起床から就寝までの行動と援助の観察を行い,同時にアクティグラフによる活動測定を1週間実施した。A氏(96歳,女性,入所8カ月)は自ら行動でき,B氏(74歳,女性,入所8カ月)は車いすを使用し,一部介助が必要であった。 A氏の生活リズムは,4時前後に起床し施設のリズムに合わせ,食事,排泄,飲水,入浴の行動をとり,その合間に部屋で横になり休息あるいは昼寝をし,18時30分前後に就寝というリズムであった。1日に4~6回部屋で横になっており,合計時間が150~310分であった。夜間に2回,2時以降に活動していることが確認された。援助では,バイタルサインの測定,配薬,入浴介助,体操への参加の促しがあるが,食事やおやつ等はA氏のリズムに合わせて配膳していた。B氏の生活リズムは3時~4時に起床し,19時前後に就寝というリズムであった。日中,ベッドに戻るのは1回程度で,車いすに座って日中を過ごしていた。食事,リハビリテーション,入浴,バイタルサインの測定,おむつ交換,ベッド移乗が介助のもと過ごしていた。 A氏は休息を取りながら活動を調整していると考えられた。B氏は施設のリズムに合わせた介助による生活であった。両氏とも,3日間のリズムがほぼ同パターンを示し,施設の生活に慣れ,本人の生活リズムに合わせて見守っていると考えられた。A氏は利用者家族との会話はあるが,それ以外の時間はテーブルから周囲を見渡していることが多く,自立して生活できる利用者に対しては基本的な援助以外の働きかけが少なく,B氏のように介助の必要な利用者に対しては介助のための声かけなどの関わりの多いことが確認された。
|