研究概要 |
【目的】感染症に強い地域づくりとネットワーク構築対象:小学5・6年生31名(男性13名,女性18名),そのサポーター45名(家族16名,教職員29名)、男性9名女性36名、平均年齢41.5±6.7歳。 方法:専用感染防護グッズ[内容は、新型インフルエンザ発生時に2週間防御自立できるための、マスク(サージカル・フィットタイプ各20枚)、速乾式手指消毒薬(携帯用を含む)、泡石鹸、パンフレット、グッズ説明書。]の支給と説明。新型インフルエンザに対応した衛生教育(講義・演習),衛生環境の調整(洗面所,食事をする環境の消毒,グリッターバグの貸与など),介入前後の質問紙調査およびグリッターバグによる手洗い調査,ヒアリングを実施した。 結果:マスクの受講経験者21名、逆に手洗いは受講経験者52名であった。集団感染症の経験では、サポーター45名のうち経験者は6名であった。小学生の手洗い調査では、特に汚染度が高かった部位は、左裏爪部、左表手の平、右裏爪部、右表手の平で、介入前後で差を認め(P=.011)、介入後有意に手洗いによる効果が上昇した。リスク認知の比較では、エイズ・新型・季節性・鳥インフルエンザの比較で、介入前後で差を認めたのは、両対象ではエイズリスク(未知性)のみであった。意義:世界的なパンデミックを想定し、小学生に対応した衛生教育についてはモデルとなる報告もなく、2009A/H1N1インフルエンザの国内集団発生期における介入において、小学校における衛生環境調整の難しさとサポーターを含めた衛生教育が整っていない実態が明らかになった。本対象において学年閉鎖が実施されているが、言葉による心的障害なども認められた。介入による成果としては、小学生への衛生行動の改善、サポーターの感染症リスク認識への影響があり、感染症要支援者として小学生およびそのサポータのシステム化の必要性と可能性が明らかとなった。
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