研究概要 |
【目的】感染症の要支援者である在日外国人への感染予防教育法の開発【内容】在日外国人(A大学45名:中国、英語圏国/B学園40名:中国19名、ベトナム13名、ネパール8名(英語圏))に、集団感染に備えた感染防護グッズ・資料を作成し、通訳・翻訳を活用した感染症の講義、手洗い・マスク指導、介入前後の意識調査、手の洗い残し調査を行った。結果1)A大学の学生は、男性19女性26名、平均年齢21.7±1.81歳、B学園は、26名、14名、22.8±5.22歳であった。マスクの受講経験者は、A大学が13名(28.9%)B学園12名(30.0%)、手洗いは30名(66.7%)と22名(55.0%)であった。SARS発生時(2003年)の在住地は、A大学は北京市内が2名(4.4%)、国内40名(88.9%)、国外3名(6.7%)。B学園は、0名,16名(40.0%),24名(60.0%)であった。2)新型インフルエンザ、SARS、エイズ、結核、赤痢、鳥インフルエンザの6つの感染症について、介入前・後の主観的知識度に有意な変化は認めなかった。3)感染症のリスク認知の恐ろしさ因子得点は、概ね介入後に得点の上昇を認めた。A大学はエイズと赤痢の恐ろしさ因子得点のみ低下し、B学園では、SARSとエイズの差がなかった。未知性因子得点は、A大学は介入後低下し、B学園は差を認めなかった。4)手洗い後の洗い残しは有意に減少し、A大学は、「右手掌指」(p=.002)、「右手背爪」(p=.003)、「右手背指」(p=.003)が、B学園では「右手掌手首」(p=.031)「右手背爪」(p=.011)「右手背親指」(p=.022)であった。教育介入による影響は、B学園で認められたものの(p=.025)、A大学では認めなかった。【意義】演習や質問紙調査結果から、緩やかな介入効果が認められるが、日本語の理解力には差があり、母国語に対応できるサポーターとリンクした支援の必要性が示唆された。
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