研究概要 |
【目的】日本人は身内意識や仲間感情によって心理的まとまり(集団凝集性)が強く、本研究ではその点に着目し、同じ疾患をもつ糖尿病患者が共に話し合い、同じ体験をする中で身内意識や仲間意識をもち、そのまとまりと牽引力によって個々の運動の継続を間接的にサポートする集団力学的アプローチを考案した。本研究では、2型糖尿病患者の運動の習慣化をサポートする集団力学アプローチ(以下グループワーク)による、心理的変化、主観的体験を実験的に明らかにする。 【研究方法】介入をグループワークを行う群(G群)、グループワークと運動を行う群(EG群)、何も行わない群(C群)と設定し、基礎的研究として大学生24名を年齢、性別、コミュニケーションレベルを均等にするように調整した上で、できるだけランダムに割り付けた。介入は2週間に1度、計4回実施した(C群は2回)。グループワークは4名の被験者にファシリテーター1名が入り、約60分の課題を遂行していく。運動は60分で、準備運動、レジスタンストレーニング、有酸素運動(エアロビクス)を含む。介入前後のアウトカムの測定には〔集団凝集性尺度(新井,2005)、運動調整尺度(松本,2003)、KISS18(菊池,2004)、メンタルディスタンス(高梨、1999)〕、行動分析データ(グループワーク中の対人距離、画像上のパーソナルスペース、グループワーク中の円の面積など)を用いた。 【経過】19年度分の研究は全実験過程の途上にある。最終的な被験者数は倍程度となること、すべての介入群における比較ができないことから、分析はすべて終了していない。20年度計画では同じ介入群のデータを増やし、新たな介入群(運動のみの群)の追加実験を予定している。
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