研究概要 |
2型糖尿病患者を対象に集団力学アプローチを組み合わせた運動プログラムを実施し,運動の維持・増進に影響する動機づけの変化,気分などの感情などの心理的変化を明らかにすることを目的とした。介入群は2型糖尿病患者4名(男性3名、女性1名)、コントロール群は年齢、性別、治療、血糖コントロール状況をマッチングさせた2型糖尿病患者7名(男性5名、女性2名)である。両群とも糖尿病の合併症がない,または進行しておらず,医師より運動が可能と判断された者を対象とした。介入群は、健康運動指導士による運動およびグループワークを実施する群で2週間に1回の割合で計4回のセッションを行った。具体的には、親密感を高めるグループワーク(自己紹介、:30分~1時間/回)と健康運動指導士による歩き方、ストレッチ、レジスタンストレーニングを含む指導(1~1.5時間/回)を段階的に進めたプログラムである。対照群は質問紙のみ(実施開始時・6週間後)行った。使用した質問紙は、運動自己決定動機づけ尺度(松本,2003)、健康管理自信感尺度(橋本,1997)、糖尿病総合負担感スケール(荒木,1995)、POMSである。身体活動量の評価は介入期間の前後2週間、加速度計付歩数計を装着し、歩数を測定した。本研究は施設内倫理委員会の承認を得て行った。結果、動機づけは、介入群が非動機づけや外的調整が低下傾向を示した。同一指的調整や内発的動機づけなどはすでに高い傾向にあり、介入による大きな変化は認められなかった。糖尿病の負担感では症状負担感のみ介入群が対照群に比べ有意に低下した(p<0.001)。POMSは介入群が対照群に比べネガティブな感情が低下する推移を示したが、統計学的には有意ではなかった。歩数は介入前後で介入群の方が4000歩ほど多かったが、有意な変化はなかった。
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