1.血中遊離癌細胞の検出 TRC(transcription-reverse transcription concerted reaction)法によるCEAを指標とした末梢血中遊離癌細胞の検出法を確立した。この方法でスクリーニングを行い、血液中に循環癌細胞が多く存在すると考えられる消化器癌患者を抽出し、"CellSearch^<TM>"を用い、15mlの末梢血中のサイトケラチン陽性癌細胞(=癌細胞)を検出した。その結果、大腸癌患者2名、胃癌患者3名、食道癌患者1名で血液15ml当たり100個以上の癌細胞が検出できた。 2.癌幹細胞の同定 CellSearch^<TM>で得られたサイトケラチン陽性細胞についてFACS解析を行う予定であったが、細胞数が少なかったため、RNAを抽出し、arrayによる発現解析を行った。その結果、癌細胞関連遺伝子、幹細胞関連遺伝子が強く発現していることが確認され、CellSearch^<TM>で得られたサイトケラチン陽性細胞は癌幹細胞の可能性があると考えられた。 3.癌幹細胞の機能解析 2で得られたサイトケラチン陽性細胞(癌幹細胞?)を培養しているが、細胞増殖のスピードが遅く、浸潤能、分化能、増殖能、転移形成能についてin vitroの系での検討はまだ行えていない。 in vivoの系は、単離したサイトケラチン陽性細胞を直接NOD/SCID mouseに移植(皮下と腎皮膜下)し、移植した癌幹細胞が増殖能・転移能を有するのか、どの臓器に転移巣を形成するのか、観察を行っているところであるが、やはり、細胞の増殖のスピードが遅く、増殖を待っているところである。
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