研究概要 |
肝臓を生体外で再生させるためには, 増殖・分化ポテンシャルの高い細胞を用いて, 立体構造を形成させることで肝細胞を組織として機能させる必要がある。そこで本研究では, (1) 増殖・分化ポテンシャルの高い細胞として, 小型肝細胞(Small Hepatocyte ; SH)と骨髄間葉系幹細胞(Msenchymal stem cells ; MSC)との共培養 (2) 立体構造を形成させるための細胞外環境の付与, を組み合わせることで, 立体的なミニ肝組織の構築およびその肝組織形成機序の解明を目的とした。 生体ラットから単離し, ヒアルロン酸塗布培養皿で10日間無血清培養した小型肝細胞コロニーに対し, TERT導入ヒト不死化骨髄間葉系幹細胞を同じ無血清培地で共培養させた。Brd-U index (BrdU positive細胞数/コロニーの全細胞数x100%)による増殖能を解析したところ, SH単独では15.3%に対し, 共培養では24.1%と高かった。またMSCは無血清培地ではほとんど増殖しなかったのに対し, 共培養では異常な増殖能を示し, ほとんどの細胞がBrd-U positiveであった。また, 胆管上皮細胞マーカーであるCK19による免疫染色を行ったところ, SH単独ではほとんど発現していなかったのに対し, 共培養ではMSCと接しているSHはほぼ100%CK19 positiveであった。これらの結果はSHとMSCとの相互作用により増殖能が促進され, また接触している部分では胆管上皮細胞への分化誘導が起こっていると考えられる。しかし, この実験系では胆管上皮細胞に分化したのがSHもしくはMSCのどちらか追跡が難しいため, GFP発現ラット由来のMSCとの共培養を検討し, その上でコラーゲンゲルによる三次元培養を行う予定である
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