研究課題/領域番号 |
19600003
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研究機関 | 国立教育政策研究所 |
研究代表者 |
深堀 聰子 国立教育政策研究所, 高等教育研究部, 総括研究官 (40361638)
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研究分担者 |
鈴木 俊之 青山学院女子短期大学, 子ども学科, 講師 (50346095)
宮崎 元裕 京都女子大学, 短期大学部・初等教育学科, 講師 (20422917)
楠山 研 長崎大学, 教育学部, 助教 (20452328)
南部 広孝 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (70301306)
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キーワード | 教育学 / 社会学 / 社会福祉関係 / 国際比較 / 保育学 / 子育て支援 / 教育政策 / 質保証 |
研究概要 |
各国の子育て支援は、いかなる政策理念にもとづいて展開されており、どのような特徴や課題があるのだろうか。そのなかで子育て世代が直面する家庭と仕事の両立という難題はいかに克服され、子どもの福祉はいかにまもられているのだろうか。本研究では、国際比較のアプローチを用いて、この課題に取り組んだ。研究枠組みとして、子育てというケア労働の主たる担い手(家庭⇔政府、女⇔男女)に着目した類型(〔育児の自助・公助〕×〔ジェンダー秩序の維持・脱構築〕)を採用し、そのなかで経済発展の段階などの異なる欧米・アジア諸国を異なるリーグとして区別した。そのうえで、政府でも家庭でもない中間組織の果たす福祉機能にとくに注目しながら、各類型に含まれる国々における子育て支援政策・制度・実態の特徴と課題を整理した。さらに本研究では、子育て支援の整合性を、政府・中間組織・家庭が相互補完的な福祉機能を果たしている程度、公共性を子どもの健全な発達や保護者の就労の保障といった社会的目標に貢献できている程度、平等性を国民が必要なサービスにアクセスできている程度と定義して、それらの観点から各国の子育て支援のあり方を比較検討した。 本研究をとおして、子育て支援に対する資源配分のあり方や、担い手の社会的位置づけには多様なパターンがあり、それぞれにニーズへの応答性、質、アクセス性等、多様な課題を抱えている実態が明らかになった。本研究の意義は、各国が限られた社会的資源のもとで、いかなる子育て支援制度を整えていくべきかを検討するうえで、多くの示唆を含む点にあろう。とくに社会保障費を抑制しながら子育て支援の拡充を図ろうとするわが国にとって、中間組織にいかなる役割を付与し、そのなかで政府がどのような責任を果たさなければならないかを考察するうえで、重要な視点を含んでいる。
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