研究概要 |
本研究はアメリカの営利大学の機関アクレディテーションを切り口に,アクレディテーション機関ごとに見られる営利大学の発展を促進する要因と阻害する要因を明らかにすることを第一の目的とし,また州による大学の設置認可の制度を比較検討することによって,営利大学の事業展開と親和性の高い高等教育制度と,親和性の低い高等教育制度を明らかにすることを企図している。20年度においては,19年度に発表したアメリカ連邦教育省のスペリングスレポートにおけるアクレディテーションに関する規制の問題を営利大学の問題と関連させながらさらに掘り下げるため,州政府や地域アクレディテーション団体に対する現地聞き取り調査を行った。また,連邦政府および州政府の行政文書や,アクレディテーション団体の事務文書などを中心として設置認可と適格認定の基準を批判的に分析し,営利大学の性質とは対立する大学の「公共性」という原則が,少なくともアクレディテーション基準の中でどのように担保されようとしているかということについて各地域アクレディテーション団体別に内容を比較検討し,その結果をわが国の私学関係者を中心とするワークショップで発表した。その際,わが国の機関別認証評価基準との比較も行った。この成果は21年度中に刊行される予定である。また,アメリカのアクレディテーションあるいはわが国の適格認定のプロセス全般に対する中央政府の関与について両システムの成立の背景を勘案しつつ日米比較を行った。その成果は20年度中に国際学術雑誌に投稿し,掲載された。
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