研究概要 |
治験以外の自主臨床研究については、遺伝子や幹細胞を用いる介入試験以外には当局への届け出や規制法令はなく、各施設の倫理審査委員会が、臨床研究に関する倫理指針や疫学研究に関する倫理指針に基づく審査をしているのみであるが、この倫理指針の法制化や内容の充実が喫緊の課題である。平成19年度は、研究分担者横出・清水の指導の下に、研究代表者村山、研究分担者西村を中心として、The DIA 43rd annual meeting, 2nd French-Japanese translational initiative, 8th Asia/Oceania Regional Congress of Gerontology and Geriatrics,第49回日本老年医学会学術集会、第39回日本動脈硬化学会学術集会その他の学会活動を通じて、被験者の権利擁護について国内外の研究者と意見を交換し、その成果をも参考にして、同年7月に厚生労働省医政局研究開発振興課宛に「臨床研究に関する倫理指針の見直し」に向けての政策提言を行った。この提言の一部は、臨床研究の倫理指針に関する専門委員会の改正素案に反映され、平成20年度に同指針が改正される予定である。また、研究協力者角が中心となって、京都大学医学部附属病院のすべての医師・歯科医師を対象とした臨床研究への取り組みに対するアンケートを実施した結果、世界医師会ヘルシンキ宣言や各種の倫理指針・ガイドラインの周知度が低いことや、臨床研究遂行を妨げる様々な倫理的課題が浮き彫りになった。今後、この問題について医療人類学的に検討するために、同様の調査を国際共同研究として実施して、臨床試験の基盤整備のためにさらに広い視点からの考察と提言を行う計画を立てており、平成20年3月にソウル国立大学医学史・医療人文学Kim助教授と研究打ち合わせを行った。
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