帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛の疼痛発生機序は明らかでない。研究代表者はこれまでに、帯状疱疹後神経痛とHLA-A*3303-B*4403-DRB1*1302との関連を見出した。一方で帯状疱疹後神経痛に進行しなかった帯状疱疹とはその関連がないことを確認した。この研究では、HLA分子とT細胞との関連から、帯状疱疹から帯状疱疹後神経痛への進行にT細胞が関与しているかについて研究ために帯状疱疹後痛モデルマウスを用いることとした。研究分担者は、単純ヘルペスウイルスI型(HSV-1)感染による帯状疱疹痛と帯状疱疹後神経痛のモデルマウスを作製した。それを用いて、研究代表者はモデルマウスにおいてMHC遺伝子の関与を見出し、さらにCD3陽性T細胞との関連も示唆した。 まず、胸線欠損ヌードマウスを用いて、同様にPHPモデルマウスを作成する過程を施行して他の系統のマウスと同様に帯状疱疹後痛へ移行するかどうかを調査する。もし帯状疱疹後痛を発症しないならT細胞がその発症に関与しているという可能性があったが、19年度の研究においては、試行錯誤を重ねたが最長18日までしか生存しなかった。その間、von Frey法により、帯状疱疹後痛と診断されたマウスはいなかった。また、運動神経麻痺を起こしたマウスもいなかった。 同時に、各系統の帯状疱疹後痛を発症したマウスの脊髄後根神経節において免疫組織染色法を用いて、CD3陽性T細胞が実際はCD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞いずれが優位であるかを研究した結果、CD4陽性T細胞が帯状疱疹後痛の病態により関与している可能性が示唆された。また、今年度はCD4陽性T細胞欠損マウスを用いて帯状疱疹後痛マウスの作製を試みて、帯状疱疹後痛に進展する否かを研究する予定である。
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