本申請研究は、ガンマナイフによる鎮痛効果の機序を基礎的な研究により解明し、三叉神経痛をはじめとする難治性疼痛へのより安全で確実なガンマナイフ治療を確立することにより患者負担を軽減させることを最終目的とする。 【中枢痛へのガンマナイフ照射治療の効果機序を明らかにする】 現在までに、ガンマナイフによる中枢神経細胞への影響を線条体に照射で解析をおこなってきた。マイクロアレイ解析、免疫組織染色法によれば、神経細胞への影響は小さい。一方、グリア細胞系の変化は著明であり、ミクログリアの活性化、アストロサイトでのドパミン受容体(D2)の発現、エンケファリンの増加が観察された。この結果は、マイクロアレイによる解析結果と一致していた。現在サイトカインの動向を検索中である。さらに、痛みの刺激により誘発される視床下部や下垂体におけるグリア系の動向を、フォルマリンテストを使い、免疫組織染色法、ウエスタンブロッティング法により追跡している。さらに、神経因性疼痛における視床下部、下垂体の関与を、座骨神経結紮アロディニアモデルを使用して、同様の方法により平行して実験中である。ガンマナイフによるエンケファリンの増加がどのように出現するのか、下垂体でのベーターエンドルフィンにも同様の変化が観察されるのかが今後の課題の一つである。 【三叉神経痛へのガンマナイフ照射治療の効果機序を明らかにする】 片側座骨神経を結紮したアロディニアモデルを作製し、ガンマナイフを照射したところ、アロディニアからの回復が促進されることが、行動実験より得られた。脊髄レベルでのミクログリア、アストロサイトの発現は変化がなく、末梢神経の回復過程を促進する作用があることを推測し、現在その解析を進めている。
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