1.国内産および中国産の生ガキ(加熱調理用)からノロウイルス(NoV)検出を行った。ともに6.7%で陽性となり、そのウイルスの配列は、近年の流行株と99%一致した。 2.アジア各国の乳幼児下痢症患児検体についてNoVの分子疫学を行った。タイ・チェンマイの2002-2004年のNoVはGII/4が最頻出株であった。ベトナム・ホーチミン市における2002-2003年の解析では、NoV GIIがA群ロタウイルス続いて多く5.5%であった。2005-2006年のNoVとして世界中で流行した2006a、2006bというGII/4の組換え株が検出された。スリランカではNoV GIIを8%の検体から検出した。この国でのNoV検出は初の報告である。今回の検体は流行株のGII/3、GII/4が半数以上であったが、GII/9やGII/16などの珍しい遺伝子型も検出された。日本の2005〜2006年ではNoV(8.5%)の最頻出遺伝子型はGII/3で、GII/4と合わせて90%となった。GII/3のvariantが最頻出株であった。2006〜2007年(総検体数628)にはNoVは14.4%で検出された。 3.ヒトに感染するNoVの多くの遺伝子型と反応するモノクローナル抗体を作製し、そのエピトープを決定した。カプシドのP1領域の立体構造に反応する抗体で、初の報告である。 4.NoVの最頻出遺伝子型(GII/3と4)を迅速に検出可能なイムノクロマトキット(IC)の評価を臨床検体にて行った。RT-PCR法と比較すると、感度74〜79%、精度96〜100%、一致率92〜95%で、他社IC製品とほぼ同様であった。さらにGIを含めた多くのNoVを検出できる系を開発中である。 5.タイ・チェンマイ近郊の農揚からブタの血清を採取し、抗E型肝炎ウイルス抗体価測定を試みた。週齢とともに保有率が上がることが確認された。
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